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その関係性がクセになる…“コンビ萌え”する罪な映画5選

2019.11.22(Fri) | 上原礼子

実の兄弟や親子でさえ厄介なのに、仕事上のパートナーだったり、ママ友だったりと、利害関係や体面的な問題が生じる人間関係となれば、余計に悩ましくなるもの。今回は、その辺りをことごとくこじらせ、深い闇に落ちてしまった『ジョーカー』で注目を集めるホアキン・フェニックスの出演作をはじめ、毎日を必死に生きる者たちのもどかしくも大切な関係性を映し出す映画をピックアップしました。

黄金だけではない、心の平穏を求めた男たち『ゴールデン・リバー』
ゴールデン・リバー
舞台はゴールドラッシュに沸くアメリカ。追いつ追われつのウエスタンサスペンスのハラハラもありつつ、雇われ殺し屋兄弟と夢で結ばれたインテリコンビが交流しながら心の平穏を求めていく人間ドラマとしても秀逸です。

殺し屋として名高いシスターズ兄弟の弟チャーリー(ホアキン・フェニックス)は酔うと必ず面倒を起こす乱暴者、兄のイーライ(ジョン・C・ライリー)は心安まることのない生活から足を洗いたいと密かに思っています。愚痴を言い合いながらも彼らが追うのは、ウォーム(リズ・アーメッド)という男。偵察係モリス(ジェイク・ギレンホール)の情報をもとに移動を始めますが、途中で彼と音信不通に。

実はウォームは、シャベルやバケツなど使わなくても、薬品の調合によって金を川底から見つけ出せる化学式を知る唯一の人物でした。その彼に孤独な心を見透かされ、人なつこく理想を語る姿に魅せられたモリスは、彼に付いていくことに。やがて、この4人が出会ってしまったとき、まさに“ゴールデン・リバー”の奇跡が起こるのですが……。

アウトローという共通項がある4人。兄イーライ&ウォーム、弟チャーリー&モリスといった入れ替えコンビが生まれるのも見どころの1つです。また、キレたら怖いホアキン演じるチャーリーは、父性への怒りとトラウマが根底にあります。ジョン演じる兄イーライも同様で、そんな弟を決して見放すことはありません。

本作では、西部劇にありがちなマッチョイズムには寄らない点が象徴的で、フランス人監督のジャック・オーディアールならではといえ、新鮮に、すがすがしくさえ映ります。ちなみに、『ナイトクローラー』ではホワイトトラッシュの映像パパラッチとその助手だったジェイク&リズが、本作では友情を育んでいると思うと感慨深いものがあります。
ホアキン演じる危険な男の告白にも注目『エヴァの告白』
エヴァの告白
マリオン・コティヤールとホアキン・フェニックス、ジェレミー・レナーという豪華共演。主演はエヴァを演じたマリオンですが、実質的な主人公はホアキン演じるブルーノではないでしょうか。『ジョーカー』の後なら、余計に沁みそうなホアキンです。

第1次世界大戦の戦火を逃れ、ポーランドからアメリカへ、妹と移住しようとしたエヴァですが、結核の妹は入国審査で隔離、エヴァ自身も理不尽な理由で入国を拒否されます。あわや強制送還のピンチを救ったのが、ホアキン演じるブルーノでした。移民の女性たちを劇場で踊らせ、売春を斡旋する危険な男で、こちらもキレさせてはいけない男。やがて、ブルーノのいとこでマジシャンのオーランドと惹かれ合うエヴァですが、過去にもオーランドに女性を奪われたことがあるブルーノは彼と一騎打ちに……。

敬虔なカトリック教徒である、マリオン演じるエヴァはまさしく薄幸の美女。とはいえ、終始、諦観というのか絶望を感じさせる佇まいには、妹と離れただけではない、ある理由がありました。それは教会での“告白”で明かされますが、注目なのはその後、ブルーノが彼にとっての女神であるエヴァだけに語った“告白”。妹を取り戻すためにブルーノとの共存関係を承知していたエヴァですが、このシーンは痛ましくも、切ない気持ちになります。
親友以上、夫婦未満の“相方”『僕たちのラストステージ』
僕たちのラストステージ
スティーヴ・クーガンとジョン・C・ライリーという英米の実力派が一世を風靡したお笑いコンビ「ローレル&ハーディ」になりきり、彼らの“最後”の英国ツアーを歌やダンスも披露しながら熱演します。

戦前のスタン・ローレル(スティーヴ・クーガン)とオリバー・ハーディ(ジョン・C・ライリー)のコンビは、観客からも批評家からも愛され、出演映画は世界中で大人気。しかし、16年もの月日が流れるとすっかり過去の人に。「もう引退したでしょ」なんて言われてしまいます。英国で再起のホールツアーを開始するも、客席はガラガラ。それでも精力的にツアーを続けるうちに再びファンの心を掴むことに成功、満席続出となるのですが…。

あくまでもビジネスパートナーとはいえ、長年ステージの上やスタジオで培ってきた2人の絆は、そうそう簡単には壊れないもの。どんなときでも、お互いを笑わせることを忘れない、その関係は親友以上、夫婦未満(!?)ともいえそうなほど。こちらもたくさん笑わされながら、最後には温かな涙で包んでくれる素敵なコメディです。
ママ友のささやかな頼みには要注意『シンプル・フェイバー』
シンプル・フェイバー
「ちょっとお願いがあるんだけど…」と子どものお迎えを頼んだまま姿を消してしまったバリキャリのママ、エミリーをブレイク・ライブリー。お役立ち動画ブログをアップするのが日課で、探偵さながらに彼女の行方を探すママ、ステファニーをアナ・ケンドリックが演じます。

2人は息子同士が同級生でなかったら、おそらく会話することも、家に遊びに行くこともなかっただろう対極的なタイプ。ステファニーは残されたエミリーの息子と夫ショーンの身の回りの世話も買って出て、自身のブログで情報を募りますが、やがてミシガン州でエミリーを目撃したとの情報が入り…。

ファッションブランドの広報担当として働く、おしゃれでカッコいいママ友に“親友”と言われたら、交通事故で夫を亡くして、孤独で、イタいくらいに自己顕示欲が強めのステファニーでなくても有頂天になってしまうのは当然のこと。でも、このステファニーもなかなかに食えない相手なのです! それぞれ確固としたキャリアを築きながら本作で初共演となったブレイクとアナが騙し合い、出し抜き合う様は必見ですよ。
万能な死体との唯一無二の友情物語『スイス・アーミー・マン』
スイスアーミーマン
実際に友人同士というポール・ダノとダニエル・ラドクリフがほぼ出ずっぱりの2人芝居で、文字通りのサバイバルを繰り広げます。特に『ハリー・ポッター』シリーズ以降、チャレンジを続けるダニエルはまさかの死体役です。

無人島にたった一人取り残された青年ハンク(ポール・ダノ)は、絶望の淵で自ら命を絶とうとしますが、波打ち際に打ち上げられた男の死体メニー(ダニエル・ラドクリフ)との出会い(?)に希望を見出します。言葉を話したり、ガスを出したり、まるでアウトドアに必携の“スイス・アーミー・ナイフ”のように多機能なメニー。そんな彼と、奇想天外でちょっぴり下品なサバイバル・アドベンチャーが始まりますが…。

男らしく、あるいは良識ある大人らしく、といった価値観にとらわれすぎていると大切なものを見失う、と教えてくれる本作。一蓮托生の親友にどれだけ本音をさらけだせるのか、信頼しているのかのバロメーターが“それ”なの? と爆笑必至です。

いずれも、人気と実力を兼ねそなえた豪華俳優たちの熱演により見応え十分。思わずファンになってしまうほど、観る側を萌えさせる関係性を体現しております。タランティーノ監督の新作『ワンス・アポン・ア・ タイム・イン・ハリウッド』でもディカプリオやブラピを改めて好きになった人も多いとか。今回取り上げた作品以外でも、探してみてはいかがでしょうか?

Writer | 上原礼子

情報誌・女性誌等の編集・ライターをへて、現在はWEBを中心にフリーに。子ども、ネコ、英国俳優などが弱点。看護師専門誌で映画&DVDコーナーを14年担当したこともあり、医療や死生観、女性の権利などにも関心アリ。

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