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そっくりすぎて二度見!? 人気俳優たちが実在の人物を熱演する映画特選

2020.02.12(Wed) | 上原礼子

シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビーという3大女優の豪華競演で話題を呼んだ『スキャンダル』がまもなく公開されます。第92回アカデミー賞ではシャーリーズが主演女優賞、マーゴットが助演女優賞、Kazu Hiro(カズ・ヒロ)氏率いるチームがメイクアップ&ヘアスタイリング賞と3部門にノミネートされ、見事カズ・ヒロ氏らが受賞したばかり。

同チームの力を借りたシャーリーズは、「#MeToo」以前に明らかになったセクハラ・スキャンダルの映画化を実現させ、実在の人気TVキャスターに大変身! そんな彼女をはじめ、そっくりすぎて思わず二度見してしまう、人気俳優たちのなりきりぶりに着目しました。

『スキャンダル』カズ・ヒロの特殊メイクでシャーリーズ・セロン激変
スキャンダル
シャーリーズ、ニコール、マーゴットと、いずれもアカデミー賞受賞もしくはノミネートの経験を持つ3人が、立場も年代も違うニュースキャスターに扮した『スキャンダル』。原題の「Bombshell」には、超がつくほどの“衝撃的なニュース”と“セクシーで魅力的な女性”という2重の意味があります。

舞台となった「FOXニュース」といえば、下で紹介する『バイス』にも登場する、いわば“共和党御用達”の大手TV局。そのCEO兼会長ロジャー・エイルズは業界の帝王とも呼ばれるほど、絶大な権力を有していました。同局の看板キャスター、メーガン・ケリー(シャーリーズ)は大統領選の討論会でトランプ候補とやり合ったことで、Twitter口撃されたり、支持者から抗議メールを送られたりと散々な目に遭います。

一方、野心に溢れた新人キャスターのケイラ(マーゴット)は副社長や秘書に取り入り、CEOのエイルズと直接会うチャンスを得ることに。女性キャスターのスカートを短くさせ、脚が映るようにガラス張りのテーブルにするなど、視聴率のために“工夫”を懲らしてきたエイルズ。ケイラが売り込みに行った際には、「忠誠心を証明しろ」と迫るのです。

やがて2016年7月、局を解雇されたベテランキャスター、グレッチェン・カールソン(ニコール)がエイルズによる長年のセクハラを告発、まさに「Bombshell」級のニュースが全米を駆け巡ることに……。

それぞれに孤軍奮闘していた3人の女性たち。実は彼女たちが唯一顔を揃えるのは、予告編にも使用されている同じエレベーターに偶然乗り合わせるシーンのみ。最初の脚本にはなかったものの、あえて作られた共演シーンで、その緊迫感といったら半端ではありません。特に、本作のプロデューサーでもあるシャーリーズは、観客にスクリーンで起きている出来事にのみ集中してもらいたいと、オスカーを獲得したカズ・ヒロ氏を指名して本人と見間違うほどに大変身。鼻筋やまぶた、下あごに特製のパーツを付けて日々撮影に臨んだそうです。

しかも、映画は声を上げた犠牲者を援護するだけでなく、いまこそ変革の時と強烈にアピールするもの。惜しくも作品賞ノミネートはなりませんでしたが、本作の“真実”に気まずい思いをしている関係者が多いからなのかも、と勘ぐらずにはいられません。

映画『スキャンダル』2.21(金)公開
『バイス』サム・ロックウェルのブッシュも似すぎ
バイス
クリスチャン・ベイルがアメリカ副大統領(バイス・プレジデント)ながら大統領以上に権限を持って暗躍し、イラク戦争やISの誕生などに影響を与えたディック・チェイニーに扮した社会派コメディ。「Vice」にもまた“悪徳”や“不道徳な行為”、組織や制度などの“欠陥”といった意味があります。

『スキャンダル』の脚本家チャールズ・ランドルフの前作『マネーショート 華麗なる大逆転』でもメガホンをとったアダム・マッケイ監督らしく、辛辣な風刺を軽妙なユーモアで包みながら、笑ってはいられないほどのズドンとした衝撃を残す傑作です。

体重を20キロ増量し、眉毛も剃ったというベイルは昨年度アカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、影で夫を操っていた(?)妻リン役のエイミー・アダムスは助演女優賞に、ジョージ・ブッシュ大統領の“本質”を見事に表現したロックウェルが助演男優賞にノミネート。『ミセス・ダウト』『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』などに続き、本作でもオスカーを獲得したグレッグ・キャノンがメイクアップを担当しています。なお、劇中の「FOXニュース」のアンカー役としてナオミ・ワッツが登場、もしかしたらグレッチェン・カールソン辺りがモデルなのかも。
『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』ゲイリー・オールドマンが大変身
ウィンストンチャーチル
『ダンケルク』でも描かれた第2次世界大戦初期の“大撤退作戦”を、政局側から描いた本作。当時の英国首相ウィンストン・チャーチルを演じるのは、顔の輪郭も、体形も全く似ていないゲイリー・オールドマン。

その特殊メイクアップを担当したのが、2012年に映画界を一度引退し、現代美術家に転向していたカズ・ヒロ氏(当時は辻一弘)でした。ゲイリーから直接「あなたが引き受けてくれないなら、私はこの映画に出ない」という熱烈なオファーを受けて映画界にカムバックし、ゲイリーと揃ってオスカーを手にしました。

連日メイクに3時間半、衣装を着るのに30分かけてチャーチルになりきったゲイリー。ヒトラーとの和平交渉か、徹底抗戦か、究極の選択を迫られるチャーチルの大仰な演説シーンと、家族や専属タイピストとの人間味溢れる関わりや苦悩との対比は、彼がそっくりだからこそ一層くっきりと浮かび上がります。
『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』ブライアン・クランストンの真骨頂
トランボ
『ローマの休日』と『黒い牡牛』の脚本を偽名で手がけ、アカデミー賞を2度受賞した脚本家ダルトン・トランボの半生を、ハリウッドの赤狩りという“ダークサイド”とともに描きます。監督のジェイ・ローチはコメディだけでなく、 “内幕”を描くのも巧みです。

「ブラックリスト」に名前が載り、映画界から追放されながらも偽名で執筆を続けたトランボを演じるのは、『THE UPSIDE/最強のふたり』や海外ドラマ「ブレイキング・バッド」のブライアン・クランストン。その理知的で時に回りくどく、少々口も悪いところなどは“いかにも”名脚本家らしい風情。その一方で、家族や映画仲間を魅了する信念と情熱がほとばしり、エンドロールで実際のトランボが映し出されるとブライアンの寄せ方に感服します。

さらに、トランボたちの天敵のコラムニスト、ヘッダ・ホッパーの慇懃無礼さをヘレン・ミレンが好演。『ホビット』シリーズのディーン・オゴーマンによるカーク・ダグラスも雰囲気をよくとらえています。
『アイム・ノット・ゼア』ケイト・ブランシェットがボブ・ディラン?
アイム・ノット・ゼア
歌詞の独特な詩的表現が評価され、ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランが持つ“イメージから作り上げた6人のキャラクター”を、6人の異なる俳優が演じるという一風変わった手法の伝記ドラマ。

自らを“アルチュール・ランボー”と名乗る詩人をベン・ウィショー、社会派フォークを歌う新進シンガーソングライターをクリスチャン・ベイル、そんなシンガーを映画で演じたことのあるハリウッド俳優を今は亡きヒース・レジャーらが演じていますが、圧巻なのは、フォークから路線変更したころの“ロックスター”。

モノクロ映像の中に登場するのはケイト・ブランシェットで、ルックスや仕草、ふとした表情などがジェンダーを超越したそっくりさで不思議な感覚に。また、ミシェル・ウィリアムズ演じる元恋人イーディ・セジウィックらしき女性の登場や、ビートルズらしきバンドと遊ぶ姿もあり、まるでフェイク・ドキュメンタリーのよう。ケイトはアカデミー賞助演女優賞にノミネートされました。

さらに今年は、レネー・ゼルウィガーが47歳の若さで亡くなる半年前のジュディ・ガーランドを演じた『ジュディ 虹の彼方に』などもあります。俳優たちが実在の人物をそっくりに演じるのは、何もトロフィー欲しさからではありません。彼らのなりきりぶりを端緒に、作品に込められたメッセージに思いを馳せてみませんか。

Writer | 上原礼子

情報誌・女性誌等の編集・ライターをへて、現在はWEBを中心にフリーに。子ども、ネコ、英国俳優などが弱点。看護師専門誌で映画&DVDコーナーを14年担当したこともあり、医療や死生観、女性の権利などにも関心アリ。

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